注意事項: 本ホームページは全ての疾患を網羅している訳ではありません。ご参考程度に留めて頂き、実際の診断・治療に関しては専門医にご相談下さい。
耳が痛い
急性中耳炎
どんな症状?
急に耳が痛くなった。
痛みとともに耳がつまった感じがする、熱が出ている。
耳が痛くなる前に風邪をひいていた、鼻水が出ていた、鼻を強くかんだ。
といった症状があると急性中耳炎を疑います。
どんな病気?
鼓膜の内側(中耳といいます)の感染のために耳痛や聞こえにくさが起こります。悪化すると耳だれが出ることもあります。耳に水が入ったからといって急性中耳炎になる訳ではなく、耳と鼻をつなぐ管を通って、鼻の中の細菌が中耳に入ってしまうために起こります。特にお子様に多い病気です。
治療は?
抗菌薬による治療で多くは治ります。軽症例では自然に治ることもありますが、重症化すると鼓膜を切開して膿を出すこともあります。ときに入院して点滴治療が必要になる場合があります。(小児急性中耳炎診療ガイドライン )
夜間・休日の対応は?
痛みが強い場合、手持ちの痛み止めがあれば使用して構いません。(お子様の場合は御本人に処方された薬か、市販薬の場合は年齢に応じた用法・用量を守って下さい。)お持ちでない場合は耳の後ろを冷やすだけでも痛みが和らぎます。翌朝以降、なるべく早めに耳鼻いんこう科専門医の診察を受けて下さい。
どれぐらいで治るの?
抗菌薬開始後3日以内に改善することが多いです。長引く場合には抗菌薬が効きにくい菌の可能性があり、薬の変更を検討する必要がありますので、再度診察を受けて下さい。また急性中耳炎が改善した後に、中耳に水がたまることが多く(滲出性中耳炎 といいます)、特にお子様の場合には完全に水が抜けるまで治療が必要です。
外耳炎
どんな症状?
普段から耳掻きの習慣があり、耳掻きをした後から痛みが出た場合には外耳炎の可能性が高いです。耳が痛痒い感じがしますが、通常、熱はなく、鼻水も出ません。ときに耳だれが出ることがあります。
どんな病気?
鼓膜の手前の皮膚(外耳といいます)に炎症を起こし、痛みや痒みを生じます。耳掻きなどの慢性的な刺激が誘因となることが多いです。カビによる外耳炎は治り難いことがあります。
治療は?
炎症を抑える薬(差し薬や軟膏)を使用します。感染がひどい時には内服の抗菌薬を使用することもあります。外耳炎を繰り返している方は、御自身では耳掻きをせずに耳鼻いんこう科で定期的に耳垢を取ってもらった方が良いでしょう。
耳が聞こえない
耳垢
どんな症状?
綿棒で耳掃除をした後から聞こえなくなった、という場合は耳垢を押し込んでしまって詰まった可能性があります。
治療は?
完全に詰まってしまうと御自身で取るのは難しいです。耳鼻いんこう科で取ってもらいましょう。完全に固まってしまった古い耳垢の場合、一度には取れず、耳垢を溶かす薬を使いながら数日に分けて取ります。お子様の場合は急に動いて鼓膜を傷つけたりしないように、しっかりと押さえて処置することが重要です。
滲出性中耳炎
どんな症状?
山に登った時や飛行機に乗った時に経験する耳がつまった感じが持続します。滲出性中耳炎だけでは痛みは生じません。風邪をひいて鼻が詰まっているときや飛行機に乗った後、急性中耳炎 が治った後、になることがあります。
どんな病気?
鼓膜の内側(中耳といいます)に液体がたまり、水の中にいるように聞こえが悪くなる病気です。耳と鼻をつなぐ管の通りが悪く、中耳の液が鼻に抜けないために起こります。お子様に多い病気です。大人の方の場合、上咽頭がんが原因となっている可能性があるので、内視鏡で確認が必要です。
治療は?
まずは去痰剤などの薬の治療を行います。アレルギー性鼻炎や副鼻腔炎があれば同時に治療します。
どれぐらいで治るの?
長期間(3カ月以上)治らない場合には鼓膜を切開して液体を抜いたり、小さなチューブを入れたりします。アデノイドが大きいために滲出性中耳炎を繰り返してしまう場合には手術でアデノイドを切除した方が良い場合があります。(小児滲出性中耳炎診療ガイドライン)
慢性中耳炎
どんな症状?
ずっと前から聞こえが悪く、耳だれを繰り返し手いる場合、慢性中耳炎を疑います。耳だれが少し臭うこともあります。痛みはありません。以前に鼓膜に穴が開いていると言われたことがある方も可能性が高いです。
どんな病気?
鼓膜の内側(中耳といいます)に感染を繰り返し、鼓膜に穴が開いたままになってしまっている病気です。子どもの頃に急性中耳炎や滲出性中耳炎の治療を充分に行わないと、慢性中耳炎に移行することがあります。耳だれを繰り返していると耳の中が硬くなって徐々に難聴が進行する場合があります。御高齢者の方に多いです。
治療は?
耳だれが出たら放置せず早めに耳鼻いんこう科を受診し、耳内の掃除をします。その上で抗菌薬(差し薬や飲み薬)を使用します。
どれぐらいで治るの?
繰り返している慢性中耳炎の場合は抗菌薬が効きにくい菌が原因である場合が多いため、出来るだけこまめに耳鼻いんこう科で処置を受けた方が早く耳だれがおさまります。感染を繰り返してしまう場合や聞こえを良くしたい場合には手術をお勧めすることがあります。
真珠腫性中耳炎
どんな症状?
慢性中耳炎に似た症状ですが、進行するとめまいや顔面麻痺の症状が出たり、髄膜炎になったりすることがあります。
どんな病気?
鼓膜の内側(中耳といいます)に上皮の一部が迷入して蓄積し、炎症を起こすことで耳の骨を壊していく病気です。
治療は?
多くの場合、手術が必要となります。定期的な処置によって炎症を抑えて病状を進行させないことが重要です。
突発性難聴
どんな症状?
それまでは良く聞こえていたのに、突然(何時何分にといった感じで)片耳が聞こえなくなります。耳が詰まった感じや耳鳴りがすることがあります。痛みはありません。めまいがすることもあります。
どんな病気?
中耳よりさらに奥の神経(内耳といいます)の障害により突然聞こえが悪くなります。原因は不明です。
治療は?
発症早期(約10日以内)にステロイド剤を使用して神経障害を食い止めることで、その後の聞こえの改善率が上昇します。持病として糖尿病や高血圧、ウイルス性肝炎、胃潰瘍、緑内障・白内障、鬱病等を患っている方は、ステロイド剤の副作用により症状が悪化する可能性があり、慎重な対応が必要です。入院での治療をお勧めすることがあります。
どれぐらいで治るの?
聞こえの改善には個人差があり、完全に治らない可能性があります。通常、突発性難聴は繰り返すことはないため、繰り返す場合には他の病気である可能性があり、MRI検査等が必要となることがあります。
騒音性難聴
どんな症状?
自分では気付かず、職場の健康診断などで難聴を指摘されることが多いです。耳鳴りがすることもあります。うるさい職場で働いている方に多い難聴です。
どんな病気?
大きな音が繰り返し耳に入ることで、耳の神経(内耳といいます)の一部(高い音)が障害され、特定の周波数の聞こえが悪化します。進行すると低い音も聞こえなくなることがあります。
治療は?
一度悪くなった聞こえは改善しません。日頃から仕事中は耳栓をして大きな音が入らないようにするなどの対策が重要です。
音響外傷
どんな症状?
ライブに行った後から聞こえなくなったり、耳元でとても大きな音(爆発音のような)を聞いた後から聞こえなくなったりした場合、音響外傷を疑います。
どんな病気?
騒音性難聴と同様に、大きな音による耳の神経(内耳といいます)の障害により特定の周波数(高い音が中心となります)の聞こえが悪化します。
治療は?
症状がでてから早期に改善が期待できます。突発性難聴に準じて治療を行うことが多いです。
加齢性難聴
どんな症状?
両耳が歳とともに聞こえなくなってきます。お子様の高い声が聞き取りにくいと感じたり、早口で話されたり、周囲がうるさいところでは特に聞こえにくいと感じます。聞き取りにくさから、聞き返しが多くなったりします。耳鳴りがすることもあります。
どんな病気?
加齢の影響により徐々に聞こえが悪くなります。多くの場合、両側が悪くなりますが、左右で差がでることもあります。特に高い音が聞こえなくなります。音の聞こえが良くても、言葉の聞き取りが悪くなっていることがあります。
治療は?
聞こえ自体を良くしたり、耳鳴りを止めたりすることはできません。多くの場合、補聴器を装用することで症状が緩和されますが、高度難聴になると補聴器の効果が十分にでない可能性があります。補聴器には色々な種類があり、個々の患者さんのライフスタイルにあったものが選べます。補聴器購入前に 補聴器相談医 に相談することをお勧めします。
めまいがする(目が回る)
内耳性めまい
どんな症状?
目が回る、身体がふらつく、まっすぐ歩けない、吐き気がする、などの症状が出ます。耳鳴りや聞こえにくさを感じることもあります
良性発作性頭位めまい症
頭を特定の向きに向けたときだけにめまいが起きます。グルグルまわる回転性めまいの場合が多いです。頭を動かしたあとに少し遅れてめまいが始まり、じっとしていると10〜30秒ほどで収まります。難聴は来しません。
メニエール病
めまいとともに聞こえも悪くなります。片側の低い音の聞こえが悪くなることが多いです。繰り返し症状が出ることが多いです。
外リンパ瘻
強く息んだり、鼻をかんだあとから、激しいめまいと高度の難聴が起きた場合には外リンパ瘻の可能性があります。
どんな病気?
中耳の奥の内耳の障害でバランス機能が障害されます。同時に聴覚も障害されることがあります。
良性発作性頭位めまい症
三半規管の中に耳石がおちてリンパの流れを乱すことによりめまいの症状が出ます。頭を動かさなければめまいは起きません。頭部の外傷が誘因となることがあります。
メニエール病
内耳の聞こえや平衡感覚の神経が入っている管はリンパ液で満たされていますが、このリンパ液が過剰となり、神経が圧迫されて難聴やめまいの症状が出ます。多くは片耳の障害ですが、約30%は両側性に発症すると言われています。ストレスが誘因となるという説があり、めまい発作を繰り返すことが多い病気です。
外リンパ瘻
中耳と内耳の境目が破綻して、内耳のリンパ液が中耳に漏れ出すために、平衡感覚の神経や聞こえの神経が障害され、激しいめまいと高度の難聴が起きます。強く息んだり、鼻をかんだときに中耳の圧が急激に上がることにより発症することがあります。難聴やめまいの症状は短期間で著しく良くなったり悪くなったりします。
治療は?
内耳性めまいの症状に対しては共通して、抗めまい薬や循環改善薬、ビタミン剤などを使用することが多いです。
良性発作性頭位めまい症
めまいが起きないように頭を動かさないようにしているとなかなか治りません。積極的にめまいがおきる向きに頭を動かします。1週間程度での改善が期待でき、多くの場合は数週間以内に収まります。
メニエール病
発作を繰り返す病気ですが、初めての発作のときは他の病気でないことを確認することが重要です。特に突発性難聴 との鑑別は困難で、聴力低下の程度によってはステロイド剤による治療を行うこともあります。メニエール病の治療としては、過剰となったリンパ液の排泄を促すために利尿剤(尿を出させるお薬)が有効と言われています。
外リンパ瘻
激しいめまいのため食事や飲水が取れず、入院が必要となることが多いです。数日間は頭を30度位に挙げてベッドの上で安静を保ちます。自然に瘻孔が塞がらない場合には手術を行うことがあります。
夜間・休日の対応は?
めまいを来す病気の診断は専門医でも難しい場合があります。特に夜間や休日には専門医が不在で精密検査ができず、診断をつけることは出来ません。目が回る、吐き気がする、耳が聞こえない、耳鳴りがする、といった症状は内耳性めまいでしばしば認めますが、頭痛や痺れ、手足が動かない、ろれつが回らない、失禁した、といった症状は内耳性めまいでは認めず、中枢性めまい の可能性を考える必要があります。その場合は夜間・休日でも救急外来を受診して頭部CT検査などを受けることをお勧めします。
前庭神経炎
どんな症状?
めまいの前に風邪症状があることがあります。突然、激しいめまいに襲われます。身体を動かすと症状は悪化しますが、安静にしていても完全にはめまいはおさまりません。難聴は伴いません。
どんな病気?
内耳のバランスを感じる器官から前庭神経を伝わって脳に信号が送られます。この神経にウイルス感染などが原因で炎症が起きると激しいめまいが起きます。
治療は?
めまいの激しいときは安静が必要です。症状は数日間で減退し、2〜3週間で軽快します。軽度のバランス障害が後遺症として残ることがあります。
中枢(脳)性めまい
どんな症状?
延髄や小脳に脳梗塞や脳出血を起こすと、急激な激しいめまいや吐き気が起きます。病状が進むと、飲み込みにくくなったり、ろれつが回らなくなったり、手足が震えたり、知覚や運動麻痺が起こったりします。
どんな病気?
広い範囲の脳梗塞では半身麻痺など他の症状を伴いますが、延髄の外側部や小脳の下面の一部のみの脳梗塞ではめまいの症状しか出ない場合があります。病状が進行するに従い、他の色々な症状が出て来ます。
早期の脳梗塞はCTでは見つけることが出来ません。特にめまい症状しか出でいない延髄外側部の脳梗塞は診断が難しく、MRI検査を行って初めて見つかることがあります。
治療は?
病状が進行する前に治療を受けることにより後遺症が軽くなる可能性がありますので、早期に神経内科・脳外科・救急科などの専門科で治療を受ける必要があります。
頸性めまい(椎骨脳底動脈循環不全症)
どんな症状?
首をひねると激しいグルグルめまいが生じます(頭の向きで生じるのとは少し違います)。
どんな病気?
頸椎の脇を走る椎骨動脈とその先の脳底動脈から延髄や小脳に血液が流れ込みます。また、内耳に血液を送る前下小脳動脈も椎骨動脈から出ています。頸椎症や頸椎椎間板ヘルニアなどがあると、首をひねったときにこれらの血管が圧迫されて血の流れが悪くなると、めまいを生じます。
頸性めまいは診断が非常に難しい病気です。MRIで頭部の血管をみるMRアンギオ検査を行っても、通常の状態では血管は圧迫されていないので、首をひねってめまいが起きる体勢で撮影して、血管の狭小化や途絶が確認されると診断できます。
治療は?
頸椎の安静が必要で、頸椎カラーなどを用います。重症の場合、頸椎前方除圧固定術が有効との報告があります。頸椎手術を専門とする整形外科医との相談が必要です。
顔が動かない
顔面神経麻痺
どんな症状?
ある日突然、片側の顔面が動かなくなります。笑ったときに左右差が出たり、うがいや水を飲む際にこぼれることで気付くこともあります。味覚がおちたり、喋りにくく感じたり、音に過敏になったり、眼が乾燥しやすくなったりします。
どんな病気?
顔面の筋肉を動かす神経を顔面神経と呼びます。頭部外傷、外耳・耳下腺の悪性腫瘍といった原因が分かることもありますが、多くの場合、原因ははっきりしません。ヘルペスウイルス感染が原因の場合が多いと考えられています。
治療は?
原因がはっきりしない場合、特発性顔面神経麻痺として治療を開始します。ステロイド剤が有効とされており、とくに麻痺の程度が重症の患者様には、入院での大量ステロイド療法が推奨されます。その他、抗ウイルス薬や末梢循環改善薬、ビタミン剤を使用したり、高気圧酸素療法などを行うこともあります。発症10日程度で筋電図検査を行い、改善が認められない患者様に対しては、手術(顔面神経減荷術)が有効である可能性があります。
夜間・休日の対応は?
顔面神経麻痺の症状が出てから、約10日以内にステロイド療法を開始した方が良いとされています。顔面神経麻痺以外の症状がない場合には、夜間・休日に救急外来を受診する必要はありませんが、なるべく早めに耳鼻いんこう科専門医を受診して下さい。
鼻水が出る・鼻がつまる
アレルギー性鼻炎
どんな症状?
くしゃみ・鼻水・鼻づまりが3大症状です。花粉症では眼の痒みが強く出ます。通年性のお子様の場合、鼻内の炎症が強くても自覚症状が乏しいことがあり、注意が必要です。
花粉症
スギやヒノキ、カモガヤ、ブタクサなどの花粉が原因となります。
通年性
ダニや埃が原因となります。気管支喘息を合併することが多いです。
アレルギー検査を行って、アレルギーの原因物質(アレルゲン)を特定することが大切です。
治療は?
花粉症・通年性どちらも重症度に応じて、抗アレルギー薬や鼻スプレーを組合せて治療を行います。飲み薬のステロイドは最重症の方にのみ使用することがあります。以前に盛んに行われていた、ステロイドの注射は現在のガイドラインでは推奨されていません。鼻閉のひどい方にはレーザー治療や手術療法が適応となる場合があります。
根本的にアレルギーを改善する治療として減感作療法があり、スギとダニについては舌下免疫療法が保険適応となっています(詳細は舌下免疫療法のページ を御参照下さい)。
急性副鼻腔炎
どんな症状?
汚い鼻水や鼻づまりがあったり、鼻声になったり、頭が痛くなったり、異臭を感じたりします。病状が進行すると視神経を圧迫して視力が低下したりすることがあります。
どんな病気?
鼻腔の周りには副鼻腔と呼ばれる骨に囲まれた空洞があり、通常は空気が入っています。ここに細菌や真菌が感染すると急性副鼻腔炎を発症します。診断は比較的簡単で、症状があってCTやレントゲンで副鼻腔に陰を認めれば診断できます。
治療は?
抗菌薬による治療を行います。症状が重い場合は点滴の抗菌薬を用いたり、上顎洞穿刺洗浄を行ったりすることがあります。
慢性副鼻腔炎
どんな症状?
慢性的な鼻水や鼻づまりがあり、鼻水がのどにおちる後鼻漏(こうびろう)の症状が特徴的です。しばしば嗅覚の低下も来します。
どんな病気?
鼻腔の周りの副鼻腔に慢性的に炎症が生じることにより、粘膜が肥厚したり、ポリープができたりします。以前は蓄膿症と呼ばれていましたが、最近は細菌感染に伴った副鼻腔炎は減少傾向で、アレルギー性の副鼻腔炎が増加していると言われています。頻度は稀ですが、慢性副鼻腔炎から副鼻腔がんが発生することがあり、鑑別にはCT検査が有用です。
治療は?
抗菌薬の長期少量内服治療を行います。3カ月程度行っても治らない場合や鼻内にポリープを認める場合、アレルギー性の副鼻腔炎である場合には内視鏡手術を行います。ただし発育途中の子供さんには手術はお勧めできません。
臭いが分からない
嗅覚障害
どんな症状?
臭いが全く分からない、強い臭いなら分かるけど弱い臭いだと分からない、元々感じていた臭いと違う感じがする、といった症状があります。
どんな病気?
慢性副鼻腔炎 やアレルギー性鼻炎 のために長期間鼻づまりが続くと、鼻が通るようになっても臭いを感じなくなってしまっていることがあります。とくにアレルギー性の副鼻腔炎では高率に嗅覚障害を来します。臭いを感じる粘膜は鼻腔の上の方にあるので、鼻全体が詰まっていなくても嗅覚障害を来すことがあります。それ以外に、風邪症状のあとに臭いを感じなくなったり、薬の副作用や外傷後に嗅覚障害を発症したりすることもあります。
治療は?
副鼻腔炎や鼻炎による鼻づまりがある場合には、これらの治療を行います。発症して間もない急性期の嗅覚障害にはステロイド剤が有効とされています。ステロイド剤の点鼻治療は、飲み薬のステロイド薬に比べて副作用も少なく有効性も高いと考えられています。風邪のあとの嗅覚障害には漢方薬が良く効くという報告もあります。
鼻血が出る
お子様の鼻血
どんな症状?
子供さんの場合は、鼻血が出てもすぐ止まるが、何度も繰り返してしまうことが多いです。夜寝ている間に鼻血が出て枕が汚れていることもあります。
どんな病気?
子供さんの鼻血は、鼻の穴を右と左に分ける仕切りから出ていることがほとんどです。この場所をキーゼルバッハ部位と呼び、毛細血管が豊富です。指が届く場所なので、鼻をいじったり、鼻を強くかんだりしたときに出血することが多いです。空気が乾燥する冬場は要注意です。
治療は?
まずは出血している場所を確認します。前述のキーゼルバッハ部位であれば鼻の穴から覗くと確認できます。もっと奥から出ている場合には、ファイバースコープなどを用いて確認を行います。出血部位が確認できれば、電気を使って粘膜を焼いて止血することができますが、痛みを伴いますので小さなお子さんには難しい場合があります。出血量が多い場合、出血部位が奥で焼くことができない場合、出血部位が分からない場合には、鼻の中にガーゼを入れて止血します。ガーゼは数日間入れっぱなしにして、完全に出血が止まってから抜きます。アレルギー性鼻炎など粘膜の炎症がある場合には、その治療も並行して行う必要があります。
大人の鼻血
どんな病気?
大人の鼻血も子供さんと同様に鼻の左右の仕切りから出ることが多いのですが、奥から出ることもしばしばあります。普段から血圧が高い方や血液をサラサラにする薬を飲んでいる方は鼻血が止まり難いことがあるので要注意です。また、鼻腔や副鼻腔の腫瘍(がん)があって鼻血が出ることもあり、鼻血を繰り返す場合には耳鼻いんこう科専門医の診察を受けて下さい。
治療は?
子供さんの鼻血と同様に出血源を確認することが大切です。その上で、焼ける場所であれば焼灼止血を行いますし、鼻の中にガーゼを入れて止血することもあります。
のどが痛い
扁桃炎
どんな症状?
のどが痛くて食事が摂れない、つばを飲み込むのも痛い、イビキがひどい、高熱が出ている、といった症状が出ます。
どんな病気?
風邪などでみられる咽頭炎はウイルスが原因のことが多いのですが、急性扁桃炎の場合は細菌感染が原因となっている割合が高くなります。とくに溶連菌は感染力も強く、お子さんの場合は腎炎の原因となることもあり、抗菌薬による治療が推奨されます。
治療は?
ウイルス感染による風邪は抗菌薬では治療できません。痛み止めや熱冷まし、去痰剤、咳止めなどによる対症療法がメインとなります。一方、溶連菌による扁桃炎には抗生剤治療が必要です。溶連菌感染を確認するためのキットがあり、5分程度で判定ができます。感染している粘膜を綿棒でこすって採取するのですが、この際にしっかりと病気のある粘膜を確認して取らないと、溶連菌感染があるのに陰性と判定される場合があり、注意が必要です。扁桃炎を繰り返している方には(概ね年に3回以上、扁桃炎による高熱がある方)、手術で扁桃腺を切除することをお勧めすることがあります。
扁桃周囲膿瘍
どんな症状?
のどが痛くて食事が摂れない、つばを飲み込むのも痛い、イビキがひどい、高熱が出ている、といった扁桃炎の症状に加え、水分も取れなくなってきたり、口が開かなくなってきたりした場合、扁桃周囲膿瘍に進展した可能性があります。
どんな病気?
扁桃炎が悪化すると、扁桃腺の外側に炎症が進展してしまい、扁桃腺の周囲に膿(うみ)がたまってしまうことがあります。扁桃周囲膿瘍を放置すると、膿がさらに拡がって深頸部膿瘍や縦隔炎といった生命に係わる病気に悪化することがあります。糖尿病を患っている方や、ステロイド剤や免疫抑制剤を飲んでいる方は特に注意が必要です。
治療は?
たまった膿は抗菌薬だけでは治りにくく、切開して膿を抜く必要があります。多くの場合、入院が必要となります。早めに治療を開始することが大切です。
咽喉頭がん
どんな症状?
のどの違和感や痛みが1カ月以上続く、食べ物が飲み込みにくい、声がかれた、片耳のつまった感じが取れない(上咽頭がん)、首にしこりができて大きくなってきた、という症状は咽喉頭がんの可能性があります。
どんな病気?
鼻の奥(上咽頭)、扁桃腺の周りや舌の付け根(中咽頭)、食道の入口(下咽頭)、声帯の周り(喉頭)の粘膜にできるがんです。飲酒・喫煙・ウイルス感染が原因となることが分かっています。
治療は?
病気の進行度によって、治療法が異なります。早期の中下咽頭表在がんに対しては内視鏡手術が可能となり、ほとんど後遺症なく治療できる方も増えてきました。進行期の患者さんには手術・抗がん薬・放射線治療を組み合わせて治療を行います。これらの治療は嚥下障害や発声障害などの後遺症を残すことがあり、早期発見・早期治療が大切です。しかし、表在がんと診断することは難しく、表在がんの診察に慣れた先生でなければ発見できないこともあります。
首がはれている
リンパ節炎
どんな症状?
首の皮膚の下にしこりを触れる、首が痛い、押すと痛い、熱がある、のどが痛い、身体がだるい、といった症状が出ます。
どんな病気?
リンパ節は局所の免疫反応に重要な役割を果たしています。のどの感染などから細菌やウイルスの一部(抗原と呼びます)が粘膜下に入ると特殊な免疫細胞(樹状細胞)に取り込まれて、近くのリンパ節に流れて行きます。リンパ節の中にはB細胞という免疫細胞が待機していて、樹状細胞からの指令を受けると抗体を産生して、細菌やウイルスを排除しようとします。この働きの中で、リンパ節が腫れて痛みを生じます。
治療は?
基本的には痛み止めなどによる対症療法を行います。細菌感染による咽頭炎が疑われる場合には抗菌薬も用いますが、EBウイルス感染が原因の伝染性単核球症でリンパ節が腫れている場合は抗菌薬で皮疹が出ることがあり、注意が必要です。血液検査で診断ができます。リンパ節の腫れが長引く場合には、腫瘍の可能性があるので精密検査が必要です。まずは負担が比較的少ない検査として、超音波検査をしながらリンパ節に針を刺して細胞を採取する吸引細胞診検査が推奨されます。
甲状腺腫
どんな症状?
首の正面、のど仏の下に甲状腺があり、この部分にしこりがある場合、甲状腺腫である可能性があります。
どんな病気?
甲状腺の腫れのことを甲状腺腫と呼びます。橋本病では甲状腺の全体が腫れることが多いです。良性の甲状腺腫としては腺腫様甲状腺腫の頻度が高いです。甲状腺癌との鑑別のためには吸引細胞診検査が有効です。
治療は?
良性の甲状腺腫は基本的に経過観察します。すごく大きい場合、増大傾向がある場合、呼吸苦などの症状がある場合、がんであるか、その可能性が否定できない場合には手術を行います。
頸のう胞
どんな症状?
首に柔らかいしこりを触れます。内部に感染を起こすと、急に腫れたり痛みを生じたりすることがあります。
どんな病気?
首の皮膚の下にできた良性の袋です。正中頸のう胞は真ん中に、側頸のう胞はやや外側にできます。超音波検査を行って、内部に液状の物質がたまっている袋が確認された場合、頸のう胞を疑います。CT検査、MRI検査、吸引細胞診検査などを行って診断します。
治療は?
検査で頸のう胞の可能性が高い場合には、手術で摘出し、病理検査で診断を確定させます。手術を行わない場合には確定診断となりませんので、経過観察が必要です。
息が苦しい
急性喉頭蓋炎
どんな症状?
元々のどの痛みがあり、急に息が苦しくなってきたり、声がかれてきたりした場合、急性喉頭蓋炎を疑います。発熱があったり、食事が摂れなかったりすることもあります。
どんな病気?
声帯のふたを喉頭蓋(こうとうがい)と呼びます。急性喉頭蓋炎では喉頭蓋が風船のように腫れて声帯を塞いでしまい、窒息する危険があります。喉頭ファイバースコープ検査で容易に診断できますので、上記の症状がある場合にはすぐに耳鼻いんこう科専門医の診察を受けて下さい。
治療は?
窒息の危険があり緊急の対応が必要です。初期には抗菌薬治療に加え、ステロイド治療を行いますが、窒息の危険性が高い場合には、気管に孔をあけて空気の通り道を確保します(気管切開)。腫れがひいたあとに孔を閉じます。
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- 院長
- 國井 直樹
- 住所
- 東京都足立区舎人1丁目11番16号
- TEL
- 03-3897-3387
- アクセス
- 日暮里・舎人ライナー「舎人駅」より徒歩3分
- 診療科目
- 耳鼻いんこう科・小児耳鼻いんこう科・
アレルギー科
診療時間
診療時間 | 月 | 火 | 水 | 木 | 金 | 土 | 日祝 |
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9:00~12:30 | ― | ★ | ― | ||||
14:00~18:30 | ― | ― | ― |
休診日:木曜・日曜・祝日
★:9:00~13:00